これまでの所長メッセージ
所長挨拶 -令和を迎えるにあたって (2019.4.1)
所長挨拶 (2018.9.10)
新年度のご挨拶 -地震から1年 (2017.4.14)
地震から6ヶ月 (2016.10.14)
地震から3ヶ月:発生研からのご報告 (2016.7.14)
地震から復旧途上 (2016.5.2)
熊本地震から11日 (2016.4.25)
発生研内外の皆様へ (2016.4.19)
発生研及び全国の皆様へ (2016.4.15)
Be smart. Stay foolish. (2016.4.14)
日頃より熊本大学発生医学研究所へのご支援ありがとうございます。お陰様で本研究所は着実に前進しています。2016年以降3人の独立准教授が着任し、研究室が増えました。今年2月にはその一人である石黒啓一郎准教授のグループが、体細胞分裂から減数分裂へのスイッチを制御する遺伝子を発見して論文を発表しました (Developmental Cell, 2020)。発生学の基盤となる業績であり、不妊の原因に関わる遺伝子として新聞等でも報道されました。現在、さらに研究室を2つ増やすべく、全国公募を行っています。新しい才能が研究所に加わることを楽しみにしています。今年は発生研設立20周年でもあります。1939年に設置された体質医学研究所を原点とし、複数回の再編を経て2000年に発生医学研究センターとして設立されました(2009年に発生医学研究所に改組)。今後も発生医学の拠点として活動していく所存です。
さて私事ではありますが、本年3月末日をもって2期4年の任期を満了し、所長を退任することとなりました。着任直後 (2016年4月14日) の熊本地震の際には、全国の皆様から多大なご支援をいただきました。当時の激励メールや寄附名簿をみるたびに思いを新たにします。ここまで発生研が回復できたのも、また自分がここまで頑張れたのも、皆様のご支援のおかげです。本当にありがとうございました。一方で、コロナウイルスの感染が拡大しており、地震に始まりコロナで終わる所長ということで、被害を最小限に抑えるべく緊張した日々が続いています。
この4年間には所長業務の傍、腎臓の高次構造の試験管内再構築、患者由来のiPS細胞による遺伝性腎臓病の再現、腎臓前駆細胞の増幅法などの成果を論文発表し、メディアでも報道していただきました。しかし機能する完全な腎臓を作るには解決しなければならないことがまだ多くあります。4月からは副所長として新所長をサポートしつつ、研究により多くの時間を割くつもりです。世界の誰も見たことがない、自分にしか見えない景色が時々見えるのが研究の醍醐味ですし、未来の医療にも繋がります。さらに挑戦を重ねて、世界と自分自身の想像を超えていきたいと思っています。今後も発生医学研究所をよろしくお願いいたします。
2020年3月
熊本大学 発生医学研究所
西中村 隆一