発生医学分野の国際研究教育拠点として社会的な役割を一層強化するために、国内4拠点の大学附置研究所(熊本大学発生医学研究所、九州大学生体防御医学研究所、東京医科歯科大学難治疾患研究所、徳島大学先端酵素学研究所)がネットワークを形成し、データ駆動型サイエンスを推進する「高深度オミクス研究センター」を設置しました。当センターでは,遺伝子発現やタンパク質相互作用、エピゲノムならびにゲノムの高次構造などを単一細胞・単一分子レベルで解析し、その高精度・高分解能のビックデータを統合するための研究プラットフォームの確立を目指します。
本事業はゲノムから代謝物に至る多階層の生体分子情報を横断的に理解するオミクス研究を実現するため、技術開発、人材育成、プラットフォーム作りを行なうことを目的として発足した事業「トランスオミクス医学研究拠点ネットワーク形成事業(平成28~令和3年度)」を発展的に改組して、文部科学省共通政策課題(共同利用・共同研究拠点の強化)「高深度オミクス医学研究拠点ネットワーク形成事業」(令和4~9年度)を4拠点が連携して実施します。
連携研究機関名 | 拠点の名称 |
熊本大学発生医学研究所 | 発生医学の共同研究拠点 |
九州大学生生体防御医学研究所 | 多階層生体防御システム研究拠点 |
東京医科歯科大学難治疾患研究所 | 難治疾患共同研究拠点 |
徳島大学先端酵素学研究所 | 酵素学研究拠点 |
氏名 | 職名 | 所属 |
石黒啓一郎 | 高深度オミクス研究センター長・教授 | 発生医学研究所 染色体制御分野 |
丹羽仁史 | 教授 | 発生医学研究所 多能性幹細胞分野 |
小野悠介 | 教授 | 発生医学研究所 筋発生再生分野 |
嶋村健児 | 教授 | 発生医学研究所 脳発生分野 |
塩田倫史 | 教授 | 発生医学研究所 ゲノム神経学分野 |
日野信次郎 | 准教授 | 発生医学研究所 細胞医学分野 |
大川恭行 | 客員教授 | 九州大学 生体防御医学研究所 |
二階堂愛 | 客員教授 | 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 |
竹本龍也 | 客員教授 | 徳島大学 先端酵素学研究所 |
高速シーケンサーや質量分析計などの技術革新により各種オミクス研究が隆盛していますが、種類の異なる膨大な生体のビッグデータを統合して理解する研究が世界的な潮流となっています。この分野で優れた実績と設備を持つ国内4拠点が中核となり、データ駆動型オミクス研究の推進と実用化を目指します。とりわけ、幹細胞から臓器再建を目指す発生医学の先端研究・人材育成においても重要な意義をもちます。発生医学研究所は文部科学省の「発生医学分野の共同利用・共同研究拠点」に認定され、国内屈指の発生医学拠点として研究者コミュニティーに貢献してきました。2016年度より「トランスオミクス医学研究拠点ネットワーク形成事業」に参画し、九州大学生体防御医学研究所・東京医科歯科大学難治疾患研究所・徳島大学先端酵素学研究所と連携してオミクス技術の導入と普及に努め顕著な成果を上げてきました。2022年度より当事業の後継として開始される九州大学を中核機関とした「高深度オミクス医学研究拠点整備事業」の実施体制の一環として熊本大学発生学研究所付属 高深度オミクス研究センターが設置されました。
本センターは高深度オミクス研究を推進することで、当研究所の発展に必要な技術基盤を提供するとともに、国民が理解しやすく、学生・若手研究者や企業を惹き付ける新規ミッションとして「高深度オミクスを用いた発生医学研究」を掲げます。高深度オミクス技術に加え、クライオ電顕やオルガノイド培養、ゲノム編集で優れた技術を有する4大学が連携して本事業を推進することで生命現象の本質を理解し、疾患発症のメカニズムに迫ります。本事業により、本学の強みである発生医学とデータ駆動型サイエンスをさらに深化させて、積極的に国際的ネットワークを構築するとともに本研究所リエゾンラボ研究推進施設との連携により発生医学の国際研究教育拠点として社会的な役割を一層強化します。