疾患特異的iPS細胞を用いた遺伝性腎疾患の病態解明拠点

 発生医学研究所では、腎臓発生分野の西中村隆一 教授が中心となって、平成 29 年度から遺伝性腎疾患患者由来の人工多能性幹細胞(iPS 細胞)を利用した難病研究を行っています。
具体的には以下の2疾患の研究を行っています。1つ目はフィンランド型先天性ネフローゼ症候群です。これは出生時から激しい蛋白尿を呈し、数年で腎不全に至る常染色体劣性の遺伝性糸球体疾患です。2つ目は常染色体優性多発性嚢胞腎です。これは尿細管・集合管が拡張して嚢胞を形成し、腎不全に至る遺伝性尿細管疾患です。前者は子どもの、後者は主に大人の難病です。これらの原因遺伝子はわかっていますが、細胞株や動物モデルを用いたこれまでの研究ではヒトでの病態再現はできていません。難病は患者数が限られるために生体試料(細胞、血液、DNA等)が非常に少なく、このことが研究を行う上で大きな障害となっていました。この問題点を疾患由来のiPS細胞を作ることで解決したいと考えています。本研究の目標は、これら2つの遺伝性腎疾患由来のヒトiPS細胞から腎臓組織を誘導して発症初期の病態を再現し、疾患のメカニズムを解明し、さらに創薬に向けた研究を進めていきたいと考えています。

 

研究のテーマは大きく3つに分けられます。
①先天性ネフローゼ症候群のiPS細胞樹立と病態解明研究
②常染色体優性多発性嚢胞腎の樹立済みiPS細胞を用いた病態解明研究
③作製したiPS細胞を用いての難病の原因解明や新しい治療法・治療薬の開発

 

なお、この研究は国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の平成29年度「再生医療実現拠点ネットワークプログラム(疾患特異的iPS細胞の利活用促進・難病研究加速プログラム)」の研究拠点IIの研究課題の1つとなっています。

 

 

 

研究の概要について

 

人工多能性幹細胞(iPS細胞)について

 

先天性ネフローゼ症候群のiPS細胞作製の流れ

 

研究体制図

 

オプトアウトについて

 

 

研究代表者および研究に関する連絡先・問い合わせ先

この研究に関してご連絡やご不明な点がございましたら、担当者へご相談ください。

 

【 研究代表者 】西中村 隆一
熊本大学 発生医学研究所 腎臓発生分野
〒860-0811 熊本市中央区本荘2丁目2番1号
Tel. 096-373-6615 FAX. 096-373-6618
E-mail: ryuichi(at)kumamoto-u.ac.jp

 

【 担当者 】仲里 仁史 (熊本大学 教育学部 養護教諭養成課程)
熊本大学小児科
〒860-8556 熊本市中央区本荘1丁目1番1号
Tel. 096-373-5191 FAX. 096-366-3471
E-mail: hnakazat(at)kuh.kumamoto-u.ac.jp