これまでの所長メッセージ
地震から3ヶ月:発生研からのご報告(2016.7.14)
地震から復旧途上(2016.5.2)
熊本地震から11日(2016.4.25)
発生研内外の皆様へ(2016.4.19)
発生研及び全国の皆様へ(2016.4.15)
Be smart. Stay foolish. (2016.4.14)
早いものであの地震から半年が経ちます。損壊した家屋の取り壊しが進み、周囲では空き地が目立つようになってきましたが、壊れたままの家も数多く残っています。発生研では、国からの復旧予算のおかげで、質量分析計、FACS、次世代シーケンサーなど損傷が大きかった機器が戻ってきました。10月からは自分たちの研究だけでなく、共同研究への質量分析支援も再開しました。今年度中にほとんどの機器が原状に復帰すると思います。またつい先日、建物の修復工事の目処がたちました。窓やエレベーターなど内部は年度内に、外壁は来年中には直していただけそうです。リエゾンラボ研究推進施設や事務部をはじめ、ご尽力いただいた方々に深く感謝いたします。
地震からの復旧過程で他の学部と緊密に連絡する必要が生じ、そのつながりを生かして、10/7には研究交流会が黒髪キャンパスで開催されました。 理学部、薬学部、医学部、発生研など多くの部局からPIが集まって6時間にわたって発表が行われました。11/7には、多大なご支援をいただいた理化学研究所から研究者をお招きして、ジョイントセミナーを開催します。 また発生研のラボ間の交流を促進するために、月1回の情報交換会を始めましたし、マウスリストも共有します。これらは今までなかった試みで、地震を契機に共同研究を促進してサイエンスを進めようという、転んでもただでは起きない我々の決意に基づいています。8月には次世代シーケンサー担当技術職員の西坂さん、9月には石黒准教授と新たなメンバーも迎えて、新生発生研が動き始めています。
全国の皆様からいただいたご寄付をもとに、研究機器の固定も進んでいます。試行錯誤の中から固定法に一定のパターンが生まれ、それを実例とともにまとめました。 地震はどこで起きるかわかりません。我々の経験を公開することで、少しでも次の被害を少なくすることができればと願っています。是非ご覧ください。また発生研災害対策マニュアルもリニューアルしました。 強調しておきたいのは、いざというときにその場を指揮するのはあなただということです。所長や教授陣は出張中かもしれないし、被災して来られないかもしれません。研究所に居合わせた人だけで地震、火災、怪我人に対処し、その状況を全所員に伝えてほしいのです。この元バージョンは5年前の東北地震の直後に作成したものです。今から振り返ると不十分だったとはいえ、私は常にカバンに入れていて、それがいざというときに役に立ちました。発生研の皆様も一読したらprintoutして持っていてください。次の災害が何であれ、被害を最小限に留めてサイエンスを前に進めねばなりません。そのための責任と覚悟を共有していただきたいのです。どうかよろしくお願いします。
あれから半年、よくここまで来ました。発生研を内外から支援していただいているすべての皆様に深く感謝いたします。そしてこれまで以上に熊本から優れたサイエンスを発信する所存です。今後ともよろしくお願い致します。
熊本大学発生医学研究所 所長
西中村 隆一