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新年度のご挨拶 -地震から1年  2017.4.14

2017.04.14 ●ニュース

新年度のご挨拶  -地震から1年   2017.4.14

 

これまでの所長メッセージ
地震から6ヶ月 (2016.10.14)
地震から3ヶ月:発生研からのご報告 (2016.7.14)
地震から復旧途上 (2016.5.2)
熊本地震から11日 (2016.4.25)
発生研内外の皆様へ (2916.4.19)
発生研及び全国の皆様へ (2016.4.15)
Be smart. Stay foolish. (2016.4.14)

 

熊本地震後の発生研の状況写真

熊本地震後の実験機器等の固定について

 

 

あの地震から1年が経ちます。発生研の内部は窓やエレベーター、階段を含めて、この3月でほぼ復旧し、ほとんどの機器も原状に復帰しました。外壁の修復にはこれから足場を組んで11月までかかりますが、研究には支障ありません。復旧に尽力いただいた方々、ご支援いただいた全国の皆様に深く感謝いたします。

 

ひどい災害でした。200名を越す亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。4000回を越える余震も辛いものでした。発生研も建物と研究機器には大きな損傷を被りましたが、人的被害は少なく、研究サンプルやマウスも大部分が維持されました。毎日顔を合わせて相談し、一緒に復旧作業する中で、発生研メンバーの結束はこれまで以上に堅いものになりました。ラボ間の交流を促進するために、月1回の情報交換会を始めましたし、8月には阿蘇で数年ぶりの合宿(リトリート)を開催します。阿蘇に向かう道路は工事が進んでいますが、それも含めて熊本の復旧を実感しつつ、研究交流したいと思います。国際化・産学連携の促進を目指してグローカルサイエンス推進施設を設置しますし、医学部・薬学部の研究施設と連携して研究を進められる共同体制の話し合いも始まっています。さらに来年1月には国内外から著名な研究者を招聘して国際シンポジウムを開催します。発生研の復活をアピールしつつ、次の展開に向けた国際的な人材のネットワークを作っていければと考えています。

 

研究機器の固定も進んでいます。実例を写真付きでまとめましたので、研究者の方は是非ご覧ください。高価な機器は、床と壁に固定した実験台の上に、ベルトで締め付けるように固定します。費用で悩むなら、せめて滑り止めシートを敷いてください。安価だし、すぐできます(何もやらないよりずっとマシです)。大切なデータが入っている自分のパソコンも、しっかり固定してください。また緊急時に刻々と変化する状況を全員がリアルタイムで共有できるように、発生研のメンバーの誰からでも全員に伝えられるメールアドレスを開設しました。これを普段から使うことで緊急時に備えることにします。非常用の水や毛布も1階に準備しました。地震はどこで起きるかわかりません。我々の経験を公開することで、少しでも次の被害を少なくすることができればと願っています。

 

あの地震は確かに自分の人生で一番の踏ん張りどころだったと思います。それを皆さんのご協力で乗り越えたことで、少し肩の力が抜けたような気がします。競争とか名誉欲、嫉妬心などの余計な憑きものが落ちて、自分の大切な家族や仲間がみな健康で、それぞれがやりたいことに集中できること、それが本当の幸せなのだと思えるようになりました。これからサイエンスを益々楽しめそうです。発生研で育ち、巣立っていく若手研究者の皆さんのためにも、これまで以上に素晴らしい環境を整備したいと思います。発生研を内外から支援していただいているすべての皆様に深く感謝いたします。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

熊本大学発生医学研究所 所長
西中村 隆一