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石黒啓一郎教授が文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞

2022.04.08 ●ニュース

石黒啓一郎教授が、令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞しました

 

この度、染色体制御分野石黒啓一郎教授が、令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞しました。

この賞は、我が国の科学技術の振興発展に顕著な貢献をされたと認められた研究者に対し、授与されるものです。

 

受賞対象となった研究題名は、「生殖細胞における減数分裂誘導機構の研究」です。

卵巣や精巣の生殖細胞において見られる体細胞分裂から減数分裂に切り替わるメカニズムの詳細は不明とされ、国際的にも長年解明されない生物学の課題でした。また、減数分裂の進行に関するメカニズムの解明は不妊の原因解明などの生殖医療とも深く関わる問題でありながら、基礎的なアプローチからの研究が展開されていませんでした。

本研究では、成体内の少数の生殖細胞集団から効率良く特定のタンパク質を精製して質量分析法を適用できる遺伝子改変マウスを開発し、微量の核内因子の同定を可能としました。

本研究により、体細胞分裂から減数分裂へのスイッチとして働く新規の因子を世界に先駆けて発見し、生殖細胞の運命決定に関する生物学上の長年の謎を解き明かしました。さらにこの因子によって直接制御を受ける新規の未解析遺伝子を含めて減数分裂関連遺伝子群を一挙に同定することに成功し、減数分裂の仕組みの理解を加速させる成果が得られました。

本成果は、不妊の原因解明など社会的にもアピール性の高い生殖医療への応用に寄与することが期待されます。

 

 

令和4年4月8日 文部科学省報道

熊本大学ホームページの記事

 

(2022年5月12日 所内にて受賞式を執り行いました)

 

 

近年の研究成果

不妊の原因にかかわる遺伝子を発見(2020年2月7日)
精子の形成に必要な減数分裂組換えの仕組みを解明(2020年5月27日)
精子形成に必要な減数第二分裂への移行に働く細胞周期の制御(2020年6月22日)
精子形態形成に先駆けて減数分裂プログラムの完了に働く新規遺伝子を発見(2021年6月1日)
精子の形成に必要な新規遺伝子F-box因子の発見(2022年5月17日)