イベント&セミナー

7月14日発生研セミナーを開催しました

2016.07.14 ●セミナー

第275回 発生研セミナー

「トランスオミクス医学研究拠点ネットワーク形成事業」 共催

 

 

クロマチン構造からトランスクリプトミクスへの挑戦

 

大川 恭行 教授

九州大学生体防御医学研究所・トランスクリプトミクス分野

 

日時:平成28年7月14日(木) 12:00~13:00

場所:発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

 

細胞分化の過程では、ゲノム上に存在する2-3 万もの遺伝子から特定遺伝子の発現が選択され、異なる形質を獲得する。この選択的な遺伝子発現はクロマチン構造制御が規定しており、その理解のためには、ヒストンバリアントの選択的取り込みから始まり、ヒストン修飾からクロマチン高次構造に至る一連のクロマチン変動メカニズムを全ゲノムレベルで明らかにする必要がある。そこで、私達は、骨格筋分化をモデルとして、ヒストンH3 バリアントの多様性が生み出す、ヒストン修飾、局所的なクロマチン構造弛緩、クロマチン間相互作用等を体系的に明らかにすることを目指している。そこでまず未解析であったマウスおよびヒトヒストン遺伝子群(うち新規マウス13 種、ヒト3 種)を包括的に同定した。次に組織別トランスクリプトーム解析の結果、骨格筋組織に発現が高いH3mm7,H3mm13 のゲノム領域の分布、機能解析を多角的に進めている。現在までに得られているヒストンバリアント研究の知見に加えて、これら包括的な解析を可能にしたクロマチン解析技術開発の取り組みについて議論したい。

 

参考文献
1. Tissue-specific expression of histone H3 variants diversified after species separation. Maehara K et al, Epigenetics Chromatin. 2015
2. Spatial re-organization of myogenic regulatory sequences temporally controls gene expression.Harada A et al, Nucleic Acids Res. 2015
3. Incorporation of histone H3.1 suppresses the lineage potential of skeletal muscle. Harada A et al, Nucleic Acids Res. 2015

 

大川恭行先生は、平成28年度発生医学研究所共同研究課題に採択されております。

 

 

連絡先:発生医学研究所 細胞医学分野 斉藤典子(内線 6802)