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分  野細胞複製分野(現・分子細胞制御分野)
掲載日2006 年 11月 8日
タイトル
フラボドキシンは AAA プロテアーゼ FtsH の活性をモニターする蛍光基質タンパク質として有効である

Takashi Okuno, Kunitoshi Yamanaka, and Teru Ogura (2006) Flavodoxin, a new fluorescent substrate for monitoring proteolytic activity of FtsH lacking a robust unfolding activity. J. Struct. Biol. 156, 115-119.

 膜結合型の ATP 依存性プロテアーゼ FtsH のタンパク質分解機構を詳細に解析するためには、分解を正確に定量的にモニターする系の確立が必要である。他の ATP 依存性プロテアーゼにおいては、緑色蛍光タンパク質( GFP )を基質として、分解によるその蛍光の減少をモニターすることができるが、 FtsH は基質タンパク質の立体構造をほどく活性が弱いため、 GFP のような安定な構造のタンパク質をほどいて分解することができない。細胞複製分野(小椋 光教授)の奥野貴士研究員(現:京都薬科大助手)らは、まず、フラビンモノヌクレオチド( FMN )を非共有結合しているフラボドキシンをモデル基質としてタンパク質分解をモニターできるかどうかを検討した。フラボドキシンが分解されると、 FMN が遊離し、蛍光強度が上昇することが期待されたが、 FtsH は FMN が結合していないアポ酵素は分解するが、 FMN の結合したホロ酵素は分解しないことが分かった。これではタンパク質分解をモニターするモデル基質としては用いることができない。この問題点を克服するため、奥野らは FMN に対する親和性が低下した Tyr94 → Asp 変異フラボドキシン( Fld(Y94D) )を構築した。その結果、 Fld(Y94D) の分解を蛍光強度の増加として分光学的にモニターすることに成功した。この新しいモニター系は、他の ATP 依存性プロテアーゼにも適用できる汎用性があると考えられる。この研究成果は、 J. Struct. Biol. 誌 10 月号に発表された。

 

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図 : A. 変異型フラボドキシン Fld(Y94D) は、 FMN 存在下でも効率良く分解される。 B. Fld(Y94D) の ATP 依存的分解は、蛍光強度の上昇としてモニターできる。