分野紹介
ゲノム神経学分野

当分野(2018年7月1日発足)は未だ明らかにされていない「非B型DNA・RNA」の生物学的意義、特に脳機能における役割を様々な角度から解析し、「世界への新しい知見の発信」と「創薬研究による社会への貢献」を目的としています。一緒に楽しく研究してくれるチャレンジ精神溢れる学生さん・共同研究者を募集中ですので、お気軽にお問い合わせください。

研究プロジェクト

DNAは、右巻き二重らせんであることがWatson博士とCrick博士によって1953年に発見されました。このDNAの基本的な構造は「B型DNA」と呼ばれています。実は、一般的に知られているこの右巻き二重らせん構造以外にも、左巻きDNA、三重鎖DNA、四重鎖DNAなど「非B型DNA」と呼ばれる構造が発見されており、DNAはその配列の特徴や溶媒の環境により、右巻き二重らせん構造以外の構造を取り得ることが報告されています。現在、当分野では非B型DNA及びRNA構造のひとつである「グアニン四重鎖」に着目し、研究を行っています。グアニン四重鎖構造は、グアニンが豊富な配列領域で1本鎖DNAもしくはRNAが形成する特殊な高次構造のひとつです (図1)

 

 

 

研究プロジェクト1

「非B型DNARNA」が関与する神経疾患の病態解明と創薬研究

グアニン四重鎖は神経疾患の原因となる可能性が示唆されています。しかしながら、それらの関連性は詳細には明らかにされていません。私達は、グアニン四重鎖異常が関与する遺伝性神経疾患であるX連鎖αサラセミア知的障がい症候群(ATR-X症候群)や脆弱X関連振戦/失調症候群 (FXTAS)における認知機能障がいの細胞内機構の解明と創薬研究を行っています。

また、FXTASのようなリピート伸長病ではRepeat-Associated Non-AUG (RAN) 翻訳が起こり、その結果産生されるポリペプチド蛋白質が神経障害の要因と考えれています。RAN翻訳は多くのリピート伸長疾患に共通する分子メカニズムであり、治療開発の標的となり得ると考えられます。私達はグアニン四重鎖を含めた「非B型DNA・RNA」がRAN翻訳の引き金となるメカニズムを追求しています (図)

 

 

 

研究プロジェクト2

RNAグアニン四重鎖の脳機能における役割の解明

グアニン四重鎖は細胞質でRNAグアニン四重鎖と蛋白質の複合体として存在しています。私達は、グアニン四重鎖構造認識抗体を用いたマウス脳組織由来免疫沈降物に対して次世代RNAシーケンサーとLC-MS/MSショットガン解析を行い、複合体の構成成分を同定しました。現在、マウス脳内におけるそれら複合体の生理的意義を個体レベルで検討しています(図3)

 

 

 

研究手法

当分野では疾患モデルマウスや疾患モデル細胞を用いて多角的アプローチで研究を行います。また、異分野との融合研究により、包括的な基礎研究と創薬研究を行います。