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[発生研セミナー] 2/25 16:00~ 遺伝研 河﨑敏広先生

2019.02.05 ●セミナー

第357回発生研セミナー

 

 

ゼブラフィッシュ精子形成における生殖顆粒因子Meiocによるリボソーム・翻訳活性の亢進とその重要性

助教 河﨑 敏広 博士
国立遺伝学研究所 遺伝形質研究系

 

日 時: 平成31年2月25日(月)16:00~17:00
場 所: 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

 

生殖顆粒は生殖細胞に特異的な細胞内構造であり、その構成因子であるDdx4 やPIWIタンパク質などがRNAの転写後調節に関わることが知られている。我々は初期精原細胞で精子形成が停止するゼブラフィッシュ変異体minamoto (moto)を単離し、この原因遺伝子meiocがコードするMeiocタンパクがゼブラフィッシュ精子形成細胞の生殖顆粒構成因子であることを見出した。興味深い事に、この変異体の精原細胞ではPIWIタンパクがrRNAの転写の場である核小体へ、rRNAの転写活性に応じて異所的に局在する。そこで、我々はリボゾームに着目して解析を進めてきた。その結果、正常精巣では精原細胞の分化に伴ってrRNA量と翻訳活性が上昇する事を見出し、moto変異体では上昇しない事がわかった。Meiocは初期精原細胞において発現量が変動するが、Meiocの発現量の上昇と共にrRNA量が上昇する。その仕組みの一つとして、MeiocタンパクがPIWIタンパクと複合体を形成し、核小体への移行を妨げる事が考えられた。
精子形成におけるrRNA量および翻訳活性の上昇の意義について、in vitroで精子形成を進行させる培養系を用いて解析を進めた。その結果、初期精原細胞が減数分裂直前の段階である後期精原細胞へと増殖・分化する際に、翻訳活性の上昇が重要である事を見出した。これまで、生殖細胞の分化に翻訳活性の上昇制御が重要である事はショウジョウバエの卵形成においてのみ報告があったが、同様の仕組みが脊椎動物にも保存されていること、および翻訳活性の制御に生殖顆粒因子が関与している事が示唆された。

 

河﨑先生は、平成30年度発生医学研究所共同研究拠点に採択されております。

 

連絡先 生染色体制御分野 石黒 啓一郎 (内線6607)