日 時: 平成29年3月16日(木)16:00~17:00
場 所: 発生医学研究所 1階カンファレンス室
動物の環境適応には、栄養状態に合わせた代謝、成長、行動などの体内システムの調節が重要である。このような調節には、栄養状態を的確に感知し、それを臓器間で共有することが必須であるが、そのメカニズムには不明な部分が多く残されている。私たちはショウジョウバエを用いて、栄養環境への適応において内分泌ホルモンが果たす役割を研究している。これまでに、栄養応答性ホルモンCCHa2を同定した。CCHa2は13アミノ酸から成るペプチドホルモンであり、糖の摂取依存的に脂肪体や腸管で合成される。CCHa2は、脳にあるインスリン産生細胞を直接活性化することにより、インスリン分泌を促し、幼虫の成長を促進することが明らかになった。現在、糖の摂取がどのように感知され、CCHa2の転写を活性化するのかを解析している。さらに、私たちは、CCHa2が成虫の求愛行動にも必要であることを見出しており、CCHa2は複数の体内システムを協調的に制御する因子であることが示唆される。本セミナーではこれらについて紹介したい。
連絡先 生殖発生分野 中村 輝 (内線6557)