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[発生研セミナー]10月31日17:00~幹細胞誘導分野・曽我美南

2016.10.27 ●セミナー

第283回 発生研セミナー

 

疾患由来iPS細胞を用いた疾患モデル確立と創薬研究

 

曽我 美南
熊本大学発生医学研究所幹細胞誘導分野 特定事業研究員

 

日時:平成28年10月31日(月)17:00~18:00
場所:発生医学研究所 1階カンファレンスルーム

 

疾患の分子機構解明や新規治療法開発には疾患モデルの開発が重要である。iPS細胞作製技術は、患者細胞から多能性幹細胞を作製することができ、患者由来の疾患標的細胞をiPS細胞からの分化誘導によって、比較的簡単に得ることを可能とした。すなわち、この技術によって細胞レベルでの疾患モデルを患者細胞を用いて構築することが出来るようになり、これを応用しての薬剤開発研究の進展が期待されている。
我々は、フリーコレステロールや脂質がリソゾーム内に蓄積して、肝・脾腫大と神経症状を呈する代謝性疾患のニーマンピック病C型(NPC)患者由来iPS細胞から疾患モデルを確立し、それを用いた薬剤スクリーニングにより新規薬剤候補物質2-hydroxypropyl-γ-cyclodextrin (HPGCD) を見出した。HPGCDはiPS細胞から作製した疾患モデルのコレステロール蓄積を減少させ、細胞機能障害を回復させた。さらにNPCモデルマウスへのHPGCDの皮下投与は、血清トランスアミナーゼを低下させ、肝組織を修復し、生存期間を延長させ、in vivoにおいても治療効果が認められた。本セミナーでは、疾患由来iPS細胞から作製した疾患モデルの病態解析や創薬研究における有用性と、我々が見出した新規薬剤候補物質HPGCDを用いた新たな投薬方法開発について紹介したい。

 

【参考文献】
曽我美南・江良択実. 代謝性疾患患者由来iPS細胞による創薬研究. 実験医学. Vol.34. No.4. 529-534. 2016.
Soga M, Ishitsuka Y, Hamasaki M, Yoneda K, Furuya H, Matsuo M, Ihn H,Fusaki N, Nakamura K, Nakagata N, Endo F, Irie T, Era T*. HPGCD outperforms HPBCD as a potential treatment for Niemann-Pick disease type C during disease modeling with iPS cells. Stem Cells. 33(4):1075-1088, 2015.

 

*多数のご来聴をお待ちしています*
【連絡先】発生医学研究所 幹細胞誘導分野 江良 択実(内線6589)