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国立大学法人熊本大学 国際先端研究拠点
学術集会参加報告 2019年度

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2019年5月15日-17日 発生生物学会 参加報告書

 

神経分化学分野 工藤 三希子
「ヒトがん細胞のリボソームによる分化転換の誘導」というタイトルでポスター発表を行った。

 

概要
・ヒト細胞に乳酸菌を取り込ませると細胞塊を形成し、多分化能を示すようになり、乳酸菌から多分化能を誘導する分子がリボソームであることがわかった。
・リボソームを取り込むことによって生じた細胞塊は、増殖がとまるので、ヒトがん細胞においても同様に実験を試みたところ、細胞塊が形成し、コントロールと比べて細胞の増殖が著しく低下した。
・ヒトがん細胞由来の細胞塊を分化誘導培地で培養すると、脂肪細胞、骨細胞にそれぞれに分化した。
・ヒトがん細胞由来の細胞塊のタンパク質とmRNAの発現を解析すると、がん細胞特異性マーカーが減少し、上皮間葉転換マーカーが増加することが分かった。

 

主な質疑応答
Q:がん細胞の増殖が著しく減少したとあるが、細胞分裂に関係する分子はどのように変化しているのか。
A:現在、調べている段階で、今の解析方法だけでは、まだはっきりとは言い切れないので、今後様々な解析方法を行った上で、結論づけていきたい。
Q:がん細胞の種類によって分化誘導に差はあるか。
A:どのがん細胞も脂肪細胞と骨細胞へは容易に誘導されると考えている、同様に軟骨細胞への分化を誘導したが、軟骨細胞へは分化しにくかった。今後、脂肪細胞と骨細胞以外の細胞にも分化転換が起こるのか検討していきたい。
Q:リボソームを取り込んだことによって生じた細胞塊はどのくらいの細胞数から構成されているのか。
A:がん細胞によって細胞塊の大きさはまちまちであった。ひと細胞の場合もだが、一度細胞塊を形成すると細胞同士は強固に接着しており、細胞数のカウントはまだできていない。
感想
これから研究を進めていくにあたって、細胞増殖や、上皮間葉転換の分野の研究をされている先生方に意見や助言をたくさんいただき、とても有意義な会になった。助言をもとにさらに研究を進めていきたい。
以上です。