国際先端研究拠点
国立大学法人熊本大学 国際先端研究拠点
学術集会参加報告 2016年度

 

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報告書:国際先端研究拠点支援による学会発表について

 

生命科学研究部 神経分化学分野 伊藤尚文

 

2016/5/20-21にStem cell research symposium(淡路島)で若手の会での口頭発表と、ポスター発表を行った。(どちらの発表もTsukushiに関するトピックス)

 

発表内容の要約
・分泌型タンパク質Tsukushiをノックアウトしたマウスでは脳室の拡張がみられる。
・Tsukushiは脳室上衣細胞と血管周皮細胞で発現するが、神経細胞では発現しない。
・Tsukushiは神経幹細胞ニッチの増殖と細胞死を調節する因子である。

 

質問のあったこと
・Tsukushiノックアウトマウスの脳関門の構造に変化はなかったか?
脳関門の構造は野生型と同じで狭窄はなく、また脳脊髄液の流れも正常であることから交通性ではないと考えられる。
・Tsukushiノックアウトマウスの脳室にTsukushiタンパク質を直接入れる、または発現vectorを導入すると、脳室拡張は回復するか?
Tsukushiは分泌型タンパク質なので、導入によって回復が見られることは大いに期待できる。今後行う予定である。
・表現型に特徴的な変化はみられるか?
表現型の解析はこれから行いますが、飼育している範囲では行動異常などがみられ、高齢者に見られる痴呆などの神経症状との関連性に注目している。
・細胞死を制御するメカニズムは何か?
以前我々のグループではアフリカツメガエルではTsukushiがdelta-1に結合して、Notchシグナルを阻害していることを報告した。細胞死もNotchシグナルかもしれない。

 

以上です。