平成27年6月2日
生命科学研究部 神経分化学分野 伊藤尚文
2015/5/29にStem cell research symposium(東京)で神経幹細胞制御因子のTsukushiについて口頭発表を行った。約200名に対し、プレゼンテーションを行った。
発表内容の要約
・分泌型タンパク質Tsukushiをノックアウトしたマウスでは脳室の拡張がみられる。
・Tsukushiは脳室上衣細胞と血管周皮細胞で発現するが、神経細胞では発現しない。
・Tsukushiは神経幹細胞の分化をNotch signalとWnt signalを阻害することで関与する。
質問のあったこと
・Tsukushiノックアウトマウスの脳関門の構造に変化はなかったか?
脳関門の構造は野生型と同じで狭窄はみられませんでした。脳脊髄液の吸収や生産はまだ調べていません。
・神経幹細胞の分化制御にTsukushiはどのように関連しているか?
ツメガエルの研究ではTsukushiはNotchシグナルのreceptorであるdelta-1に結合することが明らかにされているので、マウスでもdelta-likeに結合していないかを今調べています。
・表現型に特徴的な変化はみられるか?
表現型の解析はこれから行いますが、飼育している範囲では行動異常などがみられます。
・高齢期のマウスの表現型はどうか?
まだ調べていないですが、高齢マウスでも様々なデータが得られると思います。
以上です。