国際先端研究拠点
国立大学法人熊本大学 国際先端研究拠点
学術集会参加報告 2016年度

 

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19th International Symposium on Signal Transduction
at the Blood-Brain-Barriers

参加報告

 

September 14-16. 2016 Copenhagen (Denmark)
大学院生命科学研究部(薬)微生物薬学分野
伊藤 慎悟

 

2016年9月14日から16日の3日間の日程で行われた19th International Symposium on Signal Transduction at the Blood-Brain-Barriersに参加し、ポスター発表を行ったので参加報告をさせていただきます。
私は本学会に初めて参加しました。本学会の参加者は150名程度で規模が小さいですが、この分野においてヨーロッパで活躍されるトップクラスの研究者が多く参加されていました。また、学会名に”Signal Transduction”と銘打っているものの、BBBもしくはneurovascular unitに関することであれば” Signal Transduction”に関わらず、最新の未発表の研究成果を発表する場でありました。欧米の学会では珍しいこととであり、BBBに関する最新研究成果に関して情報収集および意見交換をするには絶好の場でありました。私は本学会において、「Effect of insulin signaling on the regulation of tight-junction integrity in hCMEC/D3 cells」についてポスター発表を行いました。発表内容はアルツハイマー病における危険因子である糖尿病がどのようにその発症に関わるのかをBBBの機能変化の観点から明らかにすることを目的としています。本発表では、インスリンが密着結合の制御に関与していることに関して多くの参加者が興味を示しめしてくれました。一方で、参加者からはインスリンがどのように密着結合を制御するのか、そのメカニズムの詳細について質問が多くされ、この点に関してさらに研究を進める必要があることが分かりました。
本学会において、iPS細胞からBBBの実体である脳毛細血管内皮細胞を創り出す研究に関する進捗状況が発表され、ある化合物を処理することによってこれまでのiPS細胞由来脳毛細血管内皮細胞よりもさらに強い密着結合を形成させることができることが報告されました。また、脳へのドラックデリバリーに関して、密着結合に関与する分子に結合する特殊ペプチドを用いて密着結合を一時的に開かせて物質を脳内へ輸送する研究が発表されていました。他にも脳へのドラックデリバリーの研究が発表されており、ヨーロッパ、特にデンマークではその研究を推進していることが分かりました。
最後に今回の発表のため旅費を支援いただいた「国際先端研究拠点における研究成果発表支援」プログラムに感謝いたします。