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第269回発生研セミナーが開催されました

2016.03.03 ●セミナー

269th IMEG Seminar

 

【日時】 平成28年3月3日(木)14:00~15:00

【会場】 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

【演題】 栄養応答性ホルモンCCHa2 による栄養状態と体内システムの協調的制御

【演者】久留米大学 分子生命科学研究所

佐野 浩子  講師

 

栄養は動物を取り巻く環境の中で最も重要なファクターの1つである。動物は栄養状態に応じて成長、代謝、行動などを調節することにより、栄養状態が不安定な野外でも生き抜くことができる。栄養状態はおもに腸管や脂肪体などの末梢器官で感知され、これらの情報は脳で統合された後、様々な臓器に伝達される。内分泌ホルモンは、このような臓器間の情報伝達を担うことにより、栄養状態と体内システムの協調的制御に重要な役割を持っている。内分泌ホルモンの異常は、肥満や糖尿病などの疾患に繋がることが知られており、内分泌制御の分子機構を明らかにすることは、ヒトの疾患を理解する上でも重要である。
本セミナーでは、最近我々が明らかにしたショウジョウバエのホルモンCCHa2 の生理機能について紹介する。CCHa2 は13 アミノ酸から成るペプチドホルモンであり、糖摂取依存的に腸管や脂肪体で合成される。幼虫期において、CCHa2 はCCHa2 受容体を介して脳からのインシュリン分泌を直接活性化し、個体の成長を栄養状態と協調的に制御することが明らかになった。さらに、我々は、CCHa2 が成虫の行動制御に関与することを見出しており、本セミナーではこれらについて紹介する。

 

【連絡先】 生殖発生分野  中村 輝 (内線6557)