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[発生研セミナー] 7/20 16:00~ 東京大 藤原靖浩先生

2020.07.06 ●セミナー

第385回発生研セミナー

※Zoom開催 (ミーティングID・パスワードは後日お知らせします)

 

マウス減数分裂におけるR-loop形成に関わる因子の探索

 

助教 藤原 靖浩 博士
東京大学定量生命科学研究所・病態発生研究分野

 

日 時: 令和2年7月20日(月) 16:00~17:00
場 所: 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

R-loopは主にプロモーター領域に遺伝子の転写時に形成され、解離した二本鎖DNAとRNAがハイブリダイズした3本鎖核酸構造であり、de novoなDNAメチル化阻害や転写因子のリクルート促進などに寄与し転写活性に強く関わっているとされている。また、R-loopはDNA複製期やDNA二本鎖切断修復の際にも形成されることが知られている。R-loop構造の解消には、R-loopを特異的に認識し分解するリボヌクリエースRNaseHやDNA/RNAヘリケースであるSETXが知られているが、R-loopの解消や形成の分子制御機構は未知な部分も多い。これまでの解析から、マウスにおいてSetxを欠損すると減数分裂期に精子形成が停止し、雄特異的に不妊となることが明らかとなっている。そこでSetx欠損マウスの精巣細胞からRNAを抽出しRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を行ったところ、精子形成や減数分裂に重要な遺伝子群の転写が顕著に低下することが明らかとなった。さらに、R-loopとSETXの詳細なゲノム局在を調べるために、R-loopを特異的に認識するS9.6抗体とSETX抗体を用いてCut&Tag法を行った結果、R-loop とSETXは主に遺伝子のプロモーター領域に検出された。以上の結果から、R-loop及びSETXは減数分裂期における転写制御を通して精子形成の進行に重要な役割を果たしていることが示唆された。今後は、SETXとR-loopを介した減数分裂期における転写の詳細な分子制御機構のさらなる解明を試みる。

 

藤原先生は、令和2年度発生医学研究所共同研究拠点に採択されております。

 

連絡先 染色体制御分野 石黒 啓一郎 (内線6607)