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[発生研セミナー] 2/20 16:00~ 久留米大 佐野浩子先生

2020.02.10 ●セミナー

第382回発生研セミナー

 

 

グルコース感知におけるポリオール経路の役割

佐野 浩子 講師
久留米大学 分子生命科学研究所 遺伝情報研究部門

 

日 時: 令和2年2月20日 (木) 16:00 – 17:00
場 所: 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

グルコースは動物の主要な炭素源であり、グルコースの適切な感知は動物の生存に必須である。グルコースの感知にはホルモンを介した間接的感知と細胞による直接感知の2種類がある。後者は内分泌系を持たない単細胞生物から高等動物まで共通したシステムが存在すると予想されるが、メカニズムには不明な部分が多い。細胞内に取り込まれたグルコースは、おもに転写を介して代謝などの体内システムを制御すると考えられており、転写装置に作用するシグナル代謝物の同定がグルコース感知機構解明の鍵となる。これまで、代謝関連遺伝子群のマスター制御因子として働くグルコース応答性転写因子Mondo/ChREBPの活性化を指標としてシグナル代謝物の探索が行われ、培養細胞では解糖系およびペントースリン酸経路由来の代謝物がシグナル代謝物の候補として挙げられてきた。これに対し、私たちはショウジョウバエを用いた遺伝学的解析により、in vivoでのMondo/ChREBPの活性化にはポリオール経路が重要であることを見出した。ポリオール経路は進化的に保存されたグルコースの副代謝経路であり、ヒトでは高血糖時に活性化されて糖尿病合併症を増悪させることが知られている。しかし、正常時における機能は未だ不明である。私たちのこれまでの結果は、ポリオール経路がグルコース感知に重要であることを示唆している。本セミナーでは発生医学研究所との共同研究の成果を紹介するとともに、疾患発症との関連についても議論したい。

 

連絡先 生殖発生分野 中村 輝 (内線6557)