日 時: 令和2年1月20日(月) 16:30 – 17:00
場 所: 発生医学研究所 1階カンファレンス室
哺乳動物において継続的な卵子産生は最も未成熟な卵胞である原始卵胞の長期に渡る維持とそれらの逐次的な卵胞成長活性化により達成される。このバランスの乱れは早発閉経など女性不妊症の原因となり得ることから、その活性化制御機構の解明は発生生物学のみならず医学的にも重要な研究課題である。我々はこれまでマウス原始卵胞の形成に関わるRNA結合タンパク質ELAVL2を同定し、その機能解析を行ってきた。この中で、ELAVL2依存的に発現亢進するRNAヘリカーゼDDX6がP-body (processing body)様の細胞質RNP顆粒および原始卵胞の形成に重要な役割を担うことを明らかにした。P-bodyに代表される細胞質RNP顆粒は液-液相分離により形成され、RNAの分解・貯蔵などに関与すると考えられている。興味深いことに我々は、DDX6が原始卵胞の維持にも関与することを見出し、現在この細胞質RNP顆粒が介するRNA制御機構の解明を目指している。本セミナーではELAVL2が関わる原始卵胞の形成機構とDDX6が関わる原始卵胞の維持機構について、これまでに得られた知見を紹介したい。
参考文献：Kato et al., ELAVL2-directed RNA regulatory network drives the formation of quiescent primordial follicles. EMBO reports, 20:e48251, 2019
加藤先生は、令和元年度発生医学研究所共同研究拠点に採択されております。
連絡先 生染色体制御分野 石黒 啓一郎 (内線6607)
