【日時】 令和元年10月11日(金)16:00〜17:30
【会場】 IRCMS Meeting Lounge (101)
【演者】 秋山-小田 康子
生命誌研究館 特別研究員 / 大阪医科大学 非常勤講師
ヘッジホッグシグナルが極性と体節形成を制御するしくみ
脊椎動物や節足動物のからだには体節の繰り返し構造が形成される。体節形成時には特定の遺伝子が前後軸に沿って一定間隔で発現するが、その発現パターンの形成様式は動物によって異なっている。このような違いを統一的に理解することは可能だろうか。
私たちがモデル生物として開発してきたオオヒメグモの初期胚は、シンプルな上皮細胞シートからなり、このシート上に、前後軸に沿ったHoxパターンや体節ごとの繰り返しパターンが形成される。オオヒメグモ胚は、このような観察しやすさとともに、繰り返しパターンが頭部・胸部・後体部の3領域において異なる様式で形成されることから、パターン形成の違いを理解する良い解析系になりうる。今回私たちは、オオヒメグモ初期胚で前後の極性形成を担うヘッジホッグシグナルが発現制御する遺伝子を、ゲノムワイドに探索した。その中で発現抑制を受ける遺伝子として同定したMsxが、3つの異なるパターン形成の様式に関与することがわかってきた。セミナーでは、Msxとヘッジホッグシグナルとの関わり合いを中心に、オオヒメグモ初期胚における極性形成と体節形成について紹介するとともに、ヘッジホッグシグナルが離散的なパターンや繰り返しパターンなど動物の組織によって異なるパターンの形成に関わることとの関連も議論したい。また、オオヒメグモの魅力もあわせて紹介する。
本セミナーは日本語で行われます。
【連絡先】発生医学研究所 多能性幹細胞分野 丹羽仁史(6806)
共催;熊本大学国際先端研究拠点、トランスオミクス医学研究拠点ネットワーク形成事業