日時:平成29年2月21日(火)16:00~17:00
場所:発生医学研究所 1階カンファレンスルーム
栄養や酸素供給等の環境に応じたエネルギー代謝表現型の構築は、生物の長期的生存戦略や体質形成において重要であるだけでなく、様々な疾患リスクとも密接に関わっている。このような代謝プログラム形成には、環境応答性エピゲノム制御が重要であると考えられるが、その仕組みはほとんどわかっていない。
ヒストン脱メチル化酵素であるLSD1及びLSD2は、メチル化されたヒストンH3リジン4(H3K4)を脱メチル化する酵素であり、転写抑制や抑制型クロマチン形成に寄与する。我々はこれまでに、LSD1/2がさまざまな環境に応じたエネルギー代謝転換において必須の役割を果たすことを明らかにしてきた。また、LSD1/2はFAD(フラビンアミンジヌクレオチド)依存性酵素であり、リボフラビン代謝による細胞内FAD合成が、LSD1による代謝遺伝子発現の調節に必須であることを明らかにしている。最近、さまざまな同化及び異化ホルモンがLSD1の機能制御を介して代謝遺伝子発現に影響を及ぼすことを見いだした。
上記の知見を踏まえて、環境に応じた細胞可塑性のエピジェネティック制御について議論し、今後の展望を紹介したい。
*多数のご来聴をお待ちしています*
【連絡先】発生医学研究所 細胞医学分野 中尾 光善(内線6804)