国際先端研究拠点
国立大学法人熊本大学 国際先端研究拠点
学術集会参加報告 2019年度

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学術集会参加報告

 

第13回 日本エピジェネティクス研究会年会 (2019年5月28-29日 横浜)
発生医学研究所 細胞医学分野 古賀友紹

 

 

今回、熊本大学国際先端研究拠点に旅費支援をいただき、2019年5月28、29日に横浜で開催された第13回日本エピジェネティクス研究会年会に参加してまいりましたので、ご報告致します。

 

学会では、米国スクリプス研究所のMichael Erb先生によるYEATS domainタンパク質によるK27アセチル化ヒストンの認識機構や、英国オックスフォード大学のRob Klose先生によるCohesinによるTADの制御機構など、興味深いお話を聞くことができました。特に私は、東京大学医科学研究所の岩間厚志先生が話された、老化に伴う造血幹細胞の骨髄系細胞バイアス及びその分子機序について興味を持ちました。その後会場にて、岩間先生からお話を聞くこともでき、今後の実験に有用なアイデアを得ることができました。
ポスターセッションでは、「炎症・免疫細胞サブセットにおけるエピゲノム因子の機能解析」というタイトルで発表させていただきました。抄録は以下のようになります。

 

生理活性脂質であるロイコトリエンB4 (LTB4)は、好中球やマクロファージ、樹状細胞など免疫細胞の遊走を促進する。近年、我々は、LTB4の第1受容体であるBLT1が、好中球やM2マクロファージ(血管新生促進型)に発現し、腹膜炎や加齢黄斑変性症を増悪させることを明らかにした (Ichiki, Koga, FASEB J, 2016; Sasaki, Koga, JCI Insight, 2018; Nagatake, Hirata, Koga, Mucosal Immunol, 2019)。また、樹状細胞において、BLT1発現量に規定される新規樹状細胞サブセット(BLT1hi DC、BLT1lo DC)を同定し、BLT1hi DCが接触性皮膚炎を増悪させることを明らかにした。これらの研究は、BLT1発現で規定される炎症・免疫細胞が多様な炎症疾患を増悪させることを示した有用な知見であったが、一方で、これらの免疫細胞サブセットの分化・極性化を規定する因子やBLT1発現を制御する因子については、ほとんどわかっていない。そこで本研究では、BLT1hi DCとBLT1lo DCを用いてエピゲノム調節因子約200因子の発現解析を行った。その結果、ヒストン脱メチル化酵素KDM7がBLT1hi DCにおいて高発現する一方で、KDM2が低発現していることを見出した。本発表では、これらの因子の機能解析について、樹状細胞、マクロファージの観点から知見を報告する。

 

会場にて、たくさんの方にご質問いただき、大変有意義な時間を過ごしました。その中でもKDM7の発現制御機構や樹状細胞バランス、マクロファージバランスに対する影響や、表現型に対する影響などに関する質問を多くいただきました。

 

今回、熊本大学国際先端研究拠点にご支援をいただいたことで、今後の研究の方向性を考える上で、多くの有用なアドバイスをいただき、また、大切な人脈を作ることができました。心より感謝申し上げます。