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分  野多能性幹細胞分野
掲載日2011年 3月 10日
タイトル
ES 細胞由来の胚性内胚葉、 膵臓前駆細胞 における網羅的遺伝子発現パターン解析は膵臓発生を理解するツールになる

Soichiro Ogaki1,* , Seiko Harada1,* , Nobuaki Shiraki1 , Kazuhiko Kume1 , and Shoen Kume§, 1,2(2011) An expression profile analysis of ES cell-derived definitive endodermal cells and Pdx1 -expressing cells. BMC Dev Biol. in press 

* These authors contributed equally to this work. § Corresponding author.

  多能性幹細胞分野(粂 昭苑教授)では 支持細胞を用いてマウス ES 細胞から内胚葉を介した膵臓細胞への分化誘導法を開発している ( Shiraki et al ., 2008 ) 。また同様の系を用いて中胚葉、外胚葉への分化誘導系も開発している ( Shiraki et al ., 2009 ) 。今回、これら ES 細胞由来の細胞を用いてマイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイ解析の結果から ES 細胞由来の内胚葉や膵臓前駆細胞で発現が上昇した 54 個の遺伝子を抽出し、これらの遺伝子について胎生 8.5 日目の胚と胎生 14.5 日目の膵臓で in situ hybridization を行った。解析の結果 27 個の遺伝子について内胚葉もしくは膵臓での発現を同定した(図)。この中にはこれまで内胚葉や膵臓での発現が知られていなかった 4 個の遺伝子も含まれていた。 ES 細胞の分化誘導系が初期の発生を理解するツールとして非常に優れていることを証明した。 本成果は BMC Developmental Biology 誌に掲載された。

 

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図 今回胎生 14.5 日目の膵臓において新たに発現を同定したいくつかの遺伝子の発現パターン。