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[発生研セミナー] 6/10(木) 11:00~ 渡邉すぎ子先生

2021.06.01 ●セミナー

第403回 発生研セミナー

 

 

【日時】2021年6月10日 (木) 11:00~12:00
新型コロナ感染症対策のためZOOMで配信致します。
詳細はメーリングリストでお知らせします。

 

【演題】ゲノムストレスに応答するエピゲノム機構とその意義
~ゲノム恒常性のゆらぎから生命現象を理解する~

 

【講師】渡邉 すぎ子
   熊本大学発生医学研究所 細胞医学分野・特定事業研究員

 

 

【要旨】
発生の過程でみられる分化シグナルや、生命活動によるゲノムストレスに応答して、クロマチンは構造をかえ、ゲノムの遺伝情報を適切に発現させたり、その安定性を維持したりする。その制御は、DNAやヒストンをはじめとするクロマチン構成因子の翻訳後修飾によって担われている。
加齢という時間軸に沿って体内の細胞のクロマチン構造は変化し、中でもDNAメチル化の変動はエピジェネティック時計として「生物学的年齢」の指標として注目されている。またゲノムストレスによって細胞老化が誘導されると、クロマチンはゲノムワイドに弛緩し、ラミンB1の発現低下を伴う核膜脆弱性に起因して、クロマチン断片が核外に漏出することが観察されている。これらの細胞ではDNA損傷応答が恒常的に活性化している一方でゲノム異常は蓄積されており、DNA損傷修復の効率低下が示唆されているが、詳しい分子メカニズムは明らかになっていない。
本セミナーでは、1)発生や老化、がん化の過程でみられるクロマチン構造因子の応答性の変化、2)DNAメチル化とクロマチンの翻訳後修飾によるDNA損傷応答の分子メカニズム、および3)ゲノムストレスで誘導される核外クロマチンとゲノム不安定性の関連について、これまでの知見を示しながら、加齢性疾患としてのがんへの研究展開の可能性について議論したい。
*多数のご来聴をお待ちしています*

 

【連絡先】発生医学研究所 細胞医学分野 中尾 光善(内線6804)