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[発生研セミナー] 1/20 16:00~ 東京大 山中総一郎先生

2019.12.27 ●セミナー

第378回発生研セミナー

 

 

マウス胎児期の生殖細胞における“緩んだ”染色体構造の解析
准教授 山中 総一郎 博士
東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻

 

日 時: 令和2年2月20日(月) 16:00 – 16:30
場 所: 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

 

マウスなどの哺乳類の生活環において、ゲノムワイドなリプログラミングは受精直後の受精卵と生殖細胞で二度起こる。これらの時期に遺伝子発現に抑制的なエピジェネティックマークが消失することが、「多能性の獲得」や「両親から受け継いだエピゲノム記憶の書き換え」につながる。その後、新規DNAメチル化によって、ゲノムワイドな「プログラミング」が起こることで、正常な発生が進行する。この「プログラミング」時に、その受け手となるクロマチンがどのような質的変化を遂げているかに関して、不明な点が多く残されていた。我々はこれまでに、新規DNAメチル化が進行中のマウス生殖細胞(ゴノサイト)を用いてクロマチン状態を解析してきた。その結果、体細胞ではヘテロクロマチン化されている多くの領域がゴノサイトで一過的にユークロマチン化するなど、ゲノム構造が広範囲に弛緩することを見出している。しかし、このクロマチン変換の生物学的意義、および、その責任因子に関しては不明な点が多い。そこで、ゴノサイト期特異的なクロマチン状態変化に寄与する因子の探索を試みた。
ゴノサイトは不均一な細胞集団であるため、まずゴノサイト期の複数のステージのサンプルを用いてシングルセルRNA-seqを行った。その結果、ゴノサイトは4種類の細胞集団に分類されることが明らかとなった。また、発現変動解析により15個のクロマチン修飾関連遺伝子がゴノサイト期に一過的に発現上昇することも見出している。本セミナーでは上記の研究成果に基づいて、“クロマチンの緩み”が担う生殖細胞の恒常性維持への影響に関して議論したい。

 

<参考文献>
Broad Heterochromatic Domains Open in Gonocyte Development Prior to De Novo DNA Methylation Yamanaka et al. Dev Cell 51 (1), 21-34.e5. 2019. PMID 31474564.

 

山中先生は、令和1年度発生医学研究所共同研究拠点に採択されております。

 

連絡先 生染色体制御分野 石黒 啓一郎 (内線6607)