日時:平成31年2月21日(木)16:00~17:00
場所:発生医学研究所 1階カンファレンス室
近年の研究から一部の非コードRNAやnascent RNAがクロマチン因子に結合し、エピジェネティックな遺伝子発現調節やクロマチン構造の制御に関与していることが示唆されている。また、細胞核をRNA分解酵素で処理するとクロマチン構造や核(内)構造に大きな変化が起きることも示されていることから、RNAが染色体の局所的な調節だけではなく、核全体の構造維持にも作用することが考えられる。しかし、RNAと核タンパク質の相互作用の役割や分子機構については未知な部分が多く、その全体像を理解するためには、どのようなRNAとRNA結合タンパク質 (RNA-binding proteins, RBPs)が複合体を形成してクロマチンに結合しているのかを解析することが必須である。クロマチンとRNA-RBP複合体の物理的相互作用を解明すべく、我々はプロテオミクスを応用して、ヒトHeLa S3細胞でRNAを介してクロマチンに結合しているRBPsの網羅的スクリーニングを試みた。その結果、hnRNPs、spliceosome、nuclear paraspeckleの構成因子に加えて、DNA損傷修復に関わる因子やシャペロニン複合体、ILF3/2複合体などがRNase処理によってクロマチン画分から優先的に遊離されることがわかった。本講演では、これらの結果と転写イベントとの関連性も含めて紹介したい。
本研究は、H30年度「発生医学の共同研究拠点」の採択課題です。
連絡先:発生医学研究所 多能性幹細胞分野 岡野正樹 (内線6806)