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[発生研セミナー] 1/31 17:00~ 熊大発生研 北嶋康雄先生

2019.01.29 ●セミナー

第350回 発生研セミナー

 

 

【日時】 1月31日(木) 17:00~18:00
【会場】 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

【演題】 骨格筋幹細胞の維持メカニズムの解明
【講師】 北嶋 康雄
熊本大学 発生医学研究所 筋発生再生分野 
日本学術振興会特別研究員SPD

 

【要旨】
骨格筋は体重の約40%を占め、損傷しても速やかに再生される生体内でも特異な特徴をもっている。さらに,過負荷により肥大,除負荷により萎縮を引き起こすダイナミックな臓器でもある。我々は、これまでに生体内の主なタンパク質分解系であるユビキチン-プロテアソーム系に着目して、骨格筋や筋幹細胞の機能について研究を行ってきた。骨格筋特異的なプロテアソーム欠損マウスを作製し、タンパク質の分解異常は筋萎縮を引き起こすことを見出した。筋幹細胞特異的プロテアソーム欠損マウスは、幹細胞プールの減少、増殖抑制により,筋再生不全を呈すことを明らかにした。これにより、タンパク質分解系は骨格筋や筋幹細胞の恒常性維持に必須であることを示した。
通常、成体の筋幹細胞は休止期で存在するが、一度組織から単離・培養すると活性化する。活性化した筋幹細胞は休止期のものに比べ移植後の生着効率は激減する。これは筋幹細胞の再生医療応用の障壁となっており、筋幹細胞の休止期維持の分子メカニズムを明らかにすることは移植法の確立において避けられない課題である。我々は新たに作出した筋幹細胞をマーキングできるマウスを用いて、筋幹細胞の休止期維持機構の解明を目指している。本セミナーでは、これまでの研究を概説しながら今後の展開について紹介したい。

 

参考文献
Kitajima et al. Proteasome dysfunction induces muscle growth defects and protein aggregation. J Cell Sci. 2014
Kitajima et al. Visualization of PAX7 protein dynamics in muscle satellite cells in a YFP-knock-in-mouse line. Skelet Muscle. 2018
Kitajima et al. The Ubiquitin-Proteasome System Is Indispensable for the Maintenance of Muscle Stem Cells. Stem Cell Reports. 2018

 

【連絡先】筋発生再生分野 小野 悠介(内線番号)6601