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[発生研セミナー] 3月23日14:00~ULB 鈴木郁夫先生

2017.03.08 ●セミナー

第304回 発生研セミナー

 

ヒトの脳進化の謎に迫る!

神経発生・比較発生学の第一線でご活躍の若手研究者鈴木先生のご講演です。

 

【日時】 3月23日(木) 14:00~15:00
【会場】 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

【演題】 ヒト進化系統特異的に重複した遺伝子の大脳皮質形成における役割
【講師】 鈴木 郁夫 研究員
 Interdisciplinary Research Institute (IRIBHM), University of Brussels (ULB)

 
【要旨】
ヒトの進化過程において、大脳皮質は大幅に拡大し複雑化してきたが、どういった分子的メカニズムによってもたらされたのかは不明な部分が多い。近年の比較ゲノム研究の成果から、ヒト進化過程で獲得、もしくは欠失した遺伝的要素が多数報告されている。中でもヒトとそれ以外の類人猿でコピー数が異なる遺伝子は、その多くが脳の形態異常や精神疾患との関連が知られている染色体領域にコードされていることから、脳進化との関連性が疑われてきた。そこで本研究では、ヒト進化系統においてコピー数が増加した遺伝子(ヒト特異的重複遺伝子)に着目し、それらがヒト大脳皮質発生に関与している可能性を検討した。第一に、ヒト胎児脳サンプルと、ヒトES細胞から分化誘導した大脳皮質細胞を用いた網羅的発現解析を行うことで、ヒト特異的重複遺伝子のヒト皮質形成における発現パターンを明らかにした。次いで、特に顕著な発現パターンを示す候補遺伝子については、ヒト胎児脳切片においてin situ hybridizationを行い、より詳細な時空間的な発現パターンを明らかにした。これらの解析によって見つかった興味深い発現パターンを示す重複遺伝子について、過剰発現実験を行うことで、大脳皮質発生における機能的な関与の有無を調べた。今回の発表では、そのうちの1つの重複遺伝子ファミリーについての研究結果を中心に紹介する。

 

【連絡先】熊本大学 発生医学研究所 脳発生分野 畠山淳(6585)