日時:平成29年2月16日(木)16:00~17:00
場所:発生医学研究所 1階カンファレンスルーム
銅は生物にとって不可欠な微量元素であり、細胞内の銅の量は厳密に調節されている。私たちは、銅を細胞内に取り込む働きをするタンパク質が、 癌では正常組織より多く発現していることを示し、また、癌は血中の銅濃度の変化に対し、より敏感に反応することを発見した。癌細胞は正常細胞に比べ銅をより必要としているのではないかと考え、銅摂取量と癌の成長速度の関係を、多段階発がんモデルマウスを用いて調べたところ、銅は腫瘍のエネルギー産生において重要な役割を担っていることが明らかとなった。本セミナーでは、酸素が十分に存在する条件下でなぜ腫瘍は正常組織に比べ 解糖系をより亢進してエネルギーをつくろうとする(ワーブルグ効果)のか、銅に着目した解釈も紹介する。近年、がんの代謝をねらった薬の開発が進んでいるが、これらに対し、銅をターゲットとした新規がん治療法の優れた点にもふれる。
*石田先生は、今年度「発生医学の研究拠点」事業の共同研究課題に採択されています。
多数のご来聴をお待ちしています
【連絡先】発生医学研究所 組織幹細胞分野 小川 峰太郎(内線6591)