イベント&セミナー

[発生研セミナー] 2月13日17:00~早稲田大 胡桃坂仁志先生

2017.02.13 ●セミナー

第298回 発生研セミナー 

 

エピジェネティクスを担うクロマチンの高次構造

 

胡桃坂仁志・教授
早稲田大学理工学術院

 

日時:平成29年2月13日(月)17:00〜18:00
場所:発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

 

エピジェネティクスは、DNAの塩基配列に依存しないゲノムDNA機能の調節機構である。真核生物において、ゲノムDNAの転写、複製、修復、組換えなどの反応はクロマチンにおいて成し遂げられている。近年の研究により、クロマチンの高次構造とそのダイナミクスによって、このようなゲノムDNAの機能調節がなされていることが明らかとなってきた。クロマチンは、基盤構造体であるヌクレオソームが、数塩基から数十塩基からなるリンカーDNAによって連結されたタンパク質−DNAの高次複合体である。ヌクレオソームのタンパク質成分は、8分子のヒストン(H2A、H2B、H3、H4がそれぞれ2分子)であり、ヌクレオソーム中では、およそ150 塩基対のDNAがヒストン8量体に左巻きに巻き付いている。ヌクレオソームはDNAの諸反応において阻害的であるため、クロマチン構造がダイナミックに変動することで、ゲノムDNA機能の調節がなされている。また、セントロメア、テロメア、ヘテロクロマチンといった染色体ドメインの形成は、クロマチンの高次構造によって規定されていることが明らかにされつつある。クロマチン高次構造とダイナミクスは、ノンアレリックなヒストンバリアントやさまざまなヒストン翻訳後修飾とのコーディネーションによって調節されていると考えられているが、その構造基盤はいまだ明らかにされていない。本セミナーでは、X線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡解析、質量分析などの手法を用いたクロマチン高次構造とダイナミクスの研究を紹介し、エピジェネティックなゲノムDNA機能の制御メカニズムについて議論したい。

 

連絡先:発生医学研究所 細胞医学分野 斉藤典子 (内線6802)