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[発生研セミナー] 1月25日17:00~山形大 奥野貴士先生

2017.01.20 ●セミナー

第297回発生研セミナー

 

奥野 貴士 准教授
山形大学理学部

 

高速AFMによるプロテアソームおよび
生体膜で機能するAAAタンパク質の作用機構解明

 

【セミナーは日本語です/This seminar will be presented in Japanese】

 

日時:平成29年1月25日(水)17:00〜18:00
場所:発生医学研究所1階カンファレンス室

 

試験管内では自発的に進まない“コト”が細胞内では頻繁におき、それらが細胞機能を制御している。例えば、細胞分裂時の膜のくびれや、染色体が並んで、一斉に分かれるなどは、基本的に試験管の中で自発的におきない。自発的に進まない“コト”をドライブする分子機構解明に意義を見出し、本研究を進めている。
AAAタンパク質は、細胞内に存在する分子または分子集合体に作用し、立体構造の解きほぐしや分子集合体の解体などを進める。細胞内に安定に存在するモノに作用し、自発的に進みそうにない反応をATP加水分解反応とカップルさせて触媒する。AAAタンパク質が作用する過程を直接可視化することにより、多くの情報が得られると考え、高速AFM観察を研究手段の一つとしている。本セミナーでは、これまでに取り組んできたAAAタンパク質の構造・反応機構の解析について紹介する。

 

<高速AFMによるプロテアソームの作用機構解明>
本研究では、ユビキチン化を受けたタンパク質がプロテアソームに結合し、分子内部のチャンバー内に送り込まれる過程の観察に挑戦してきた。これまでに、26Sプロテアソームの高速AFM観察に成功し、空間分解能をあげることに成功してきた。また、頻度は未だ低いが基質複合体と思われる構造体の観察にも手がかりを得ることができた。セミナーでは最近得られた、全反射顕微鏡による1分子観察により明らかにした、26SプロテアソームのATPase反応についても紹介する。

 

<生体膜で機能するAAAタンパク質の作用機構解明>
高速AFMは装置の特性上、フラットな脂質膜表面の構造観察に適している。そこで、生体膜表面で機能するAAAタンパク質に注目し、AFM観察に適した新しい生体膜モデルを検討してきた。本セミナーでは、培養細胞から調製したGiant Plasma Membrane Vesiclesを用いた基板支持状態の新しいモデル膜作製方法および液中AFMによるモデル膜の構造観察について紹介する。

 

奥野博士は、今年度「発生医学の研究拠点」事業の共同研究課題に採択されています。

 

多数のご来聴を歓迎します。

 

連絡先:分子細胞制御分野 小椋 光(内線6578)