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[発生研セミナー] 2月23日15:00~京都大 大野睦人先生

2017.02.21 ●セミナー

第294回発生研セミナー

 

RNAの核外輸送 vs 核内保持ーRNAの核・細胞質間の分配制御

大野 睦人 教授
京都大学 ウイルス・再生医科学研究所
RNAシステム分野

 

日 時: 平成29年2月23日(木)15:00~16:00
場 所: 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

核外輸送される主要なRNA には、メッセンジャーRNA(mRNA)を始めとして、翻訳に関わるリボソームRNA(rRNA)や転移RNA(tRNA)、スプライシングに関わるウリジンリッチ 核内低分子RNA(U snRNA)、マイクロRNA(miRNA)など様々なものがある。これらのRNA は、それぞれのRNA 種に固有の輸送因子群が核内で結合した後、細胞質へと輸送される。核内でRNA に結合する因子群は、核外輸送を司るだけでなく、核外輸送後のRNAの運命(局在化、翻訳、安定性など)をも規定することが明らかになってきた。つまり、RNAの種類は核内で既に核外輸送因子群によって識別されていて、その識別がこれら様々なRNA の運命全体に影響を与えるのである。他方、snoRNA やscaRNA など、核外輸送されずに核内で機能するRNAも存在し、さらにイントロンを含むmRNA 前駆体などの未成熟RNA は成熟化するまで核の中に留められる。このようなRNA の核と細胞質間の選択的分配は遺伝子発現に重要であるが不明な点が多い。本セミナーでは、まず近年我々の研究室で明らかにされた、RNAの長さに応じてRNAポリメラーゼⅡの転写産物の核外輸送経路が振り分けられるメカニズムについて簡単に紹介し、次いで長鎖ノンコーディングRNAの核内保持のメカニズムの現在進行中の研究について述べ、RNA の核と細胞質間の分配制御について議論したい。

 

連絡先 生殖発生分野 中村 輝 (内線6557)