イベント&セミナー

[発生研セミナー]2月14日16:00~広島大 千原崇裕先生

2017.02.14 ●セミナー

第289回発生研セミナー

 

ショウジョウバエ脳内単一細胞解析から見えてきた脳神経地図のつくり方

 

千原 崇裕
広島大学大学院 理学研究科 教授

 

日 時: 平成29年2月14日(火)16:00~17:00
場 所: 発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

 

脳は限られた数の神経細胞で莫大な量の神経情報を統合・処理・収納するために、シナプス形成領域の「脳内における空間的配置」を巧みに利用しており、これによって更に情報処理能力を向上させている。このようなシナプス形成場の脳内配置様式は「神経地図」と呼ばれる。神経地図の存在は、ヒトを含め様々な生物において確認されているが、その発生・維持に必要な分子基盤に関しては未だ断片的な情報しかないのが現状である。

脳神経地図の構築原理を理解するには、その神経地図を構成する細胞群を同定し、それら細胞の挙動を個体内(脳内)で非侵襲的に操作・観察する技術が必要となる。さらにそれぞれの神経細胞の相互作用を理解するためには、脳内において隣接する神経細胞を独立に操作する技術も必要となる。私達はこれらの課題を克服できるモデル系として「ショウジョウバエ嗅覚系神経地図:触角葉」を採用し研究をすすめている。触角葉を構成する神経回路に脳内単一細胞モザイク法(MARCM法)を適用することにより「脳内 (in vivo)」で「単一神経細胞」の遺伝子型を自在に操作することが可能になる。セミナーでは、本研究分野の世界的動向に加え、

 

①神経突起相互作用解析の更なる精度向上に向けた試み
②分子シャペロンなどの小胞体分子による神経回路調節機能
③ephrin/Ephシステムによる神経回路分離とその生理的意義

 

について紹介し、今後の展望についても議論したい。

 

 

連絡先 生殖発生分野 中村 輝 (内線6557)