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[発生研セミナー]9月6日14:00~Dundee大学 喜多村悦至先生

2016.09.01 ●セミナー

第280回 発生研セミナー

 

スピンドル微小管による動原体捕捉の分子機構

 

喜多村 悦至 博士
Centre for Gene Regulation & Expression, School of Life Sciences, University of Dundee
Senior Research Associate

 

日時:平成28年9月6日(火)14:00~15:00
場所:発生医学研究所 1階カンファレンス室

 

細胞がその遺伝情報を子孫の細胞へ正確に伝達するためには、DNA複製期に染色体DNAを正確に複製し、複製された染色体を娘細胞へ均等に分配することがきわめて重要である。しかしながらその過程のどこかに狂いが生じると,がん化など生物に対して重大な悪影響が生じる。体細胞分裂および減数分裂時の染色体分配エラーによる染色体数異常(染色体不安定性)は、がん化や先天性異常などを引き起こすことが知られている。では細胞は限られた時間と空間の中でどのように染色体を微小管で捕捉し、正しい染色体分配を行なっているのであろうか?
かねてより動物細胞を用いた先行研究から、動原体に結合する微小管の由来とその極性の問題について盛んに論議がされていた。一方、我々はこれまで出芽酵母を用いた研究で、微小管が紡錘体極のみならず、動原体にも形成されることを観察していた。しかしながら、その役割とその調節については不明であった。動物細胞では,核内微小管は染色体の方向に驚異的に伸長する.M期に核膜が消失する動物細胞では、染色体の周辺でRanGTP の濃度が高く、この濃度勾配が微小管の伸長を促進して紡錘体の形成を促すと考えられている。しかし出芽酵母では、RanGTP は微小管に結合していないセントロメアの位置とは無関係に、核内微小管の伸長を促進することが示唆されている。これらのことは、出芽酵母では動原体が核内微小管に初めて捕捉される過程において、明らかにされていない機構が存在していることを示唆する。本セミナーでは、出芽酵母動原体に形成される微小管(KT-derived MT)の特性,役割とその調節を分子遺伝学と光学顕微鏡のライブイメージングを駆使した解析手法により詳細に検討した研究について紹介する。

 

◆多数のご来聴を歓迎します◆

 

連絡先:発生医学研究所 染色体制御分野 石黒 啓一郎 (内線6606)