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発表内容

Cyclodextrin solves insolubilities in Niemann-Pick disease Type C

 

入江 徹美
熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)薬物治療設計学分野

分子カプセルと呼ばれる環状オリゴ糖シクロデキストリンの超分子的な包接現象は、多方面で有効利用されている。シクロデキストリンの医薬への応用に関して、医薬品を構成する製剤添加物(脇役)から薬理活性成分(主役)へのパラダイムシフトが起こりつつある。その一例として、シクロデキストリンと生体構成脂質コレステロールとの分子間相互作用に関する基礎研究に端を発し、多くの方々のご協力を仰ぎながら、基礎と臨床をつなぐ循環型橋渡し研究を展開した。その結果、細胞内コレステロール転送タンパク質NPC1あるいはNPC2をコードする遺伝子の変異により発症する常染色体劣性遺伝病Niemann-Pick病C型の治療薬としてのシクロデキストリンの可能性を見出した。 

参考文献
Int. J. Mol. Sci. 2021, 22, 452; doi.org/10.3390/ijms22010452
Int. J. Mol. Sci. 2020, 21, 898; doi:10.3390/ijms21030898
J. Phys. Chem. B 2018, 122, 5716−5725
Stem Cells 2015, 33, 1075-1088