21世紀COEプログラム
細胞系譜制御研究教育ユニットの構築
取り組み

本プログラムでは、細胞系譜をキーワードとし、その研究に関わる大学院生、ポスドク、教員が自由に参加できる研究の触媒的機構「リエゾンラボ」を設置し、研究推進ならびに人材育成事業を行っている。

 

交流による活性化

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1泊2日の合宿セミナー. セミナーや定例の研究会によって交流を深めながらCOE研究に参画している.

 

2002 年末より開始された、「 COEリエゾンラボ研究会」は 2005 年 12 月までに第 118 回を数え、 累計で 5,700 名超 の参加を得ている。また、毎夏、 1 泊 2 日にわたり阿蘇山麓で行われる「 COE リエゾンラボ・サマーリトリートセミナー」では学外研究者による講演の他、参加者全員が口頭発表またはポスター発表を行い、深夜まで活発な討論が続けられた。この他、国際シンポジウムを年に 1~2 回開催し、国際交流を深めている。

 

 

 

若手人材育成事業 (身分規程)

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図1.本COEによる公募・審査型若手支援事業で雇用したポスドクと大学院生の流動性

 

大学院生、ポスドクに対して、それぞれ、 COE ジュニア・リサーチアソシエイト、 COE リサーチアソシエイトの称号を付与した雇用を行っている。採用決定は公募と審査を経て行われ、 2005 年度は 28 名の COE ジュニア・リサーチアソシエイト、 13 名の COE リサーチアソシエイトを任用し、先端的な研究への積極的な参画を支援している。これらのジュニア・リサーチアソシエイト、 COE リサーチアソシエイトの出身大学・学部は多様で、学際性と流動性に優れている(図 1 )。

 

 

 

若手人材育成事業 2 (研究サポート)

 

国際シンポジウムでは若手研究者にポスター発表の機会を与えることで、英語による成果のとりまとめ、あるいは欧米式の自己表現やディスカッション技法に関して改善が見られた。その他、研究成果を学会発表する際の旅費支援、論文投稿の際の英文校閲の支援、さらには自由な発想で自発的な研究活動をするための研究経費支援事業も実施した。

文部科学省への科研費申請資格は 2005 年度よりポスドクを含む非常勤研究者にまで拡大された。本プログラムと発生研の事業で雇用したポスドクの「若手 (B) 研究」( 37 歳以下の者が一人で行う予算額 500 万円以下の研究種目)への申請は 6 件であり、うち 4 件が採択され、これらの事業による成果が反映されたといえる。

このように、本プログラムはリエゾンラボへの大学院生やポスドクの積極的な研究参画による教育的効果だけでなく、育成されモチベーションが高揚した彼らの参画あるいは新たな学外ポスドク層の参入による研究基盤強化に直結し、それがさらにまた教育効果をあげるという正のサイクルを生み出した。本プログラムの事業が終了した後もこの正のサイクルが継続されるよう期待したい。

 

*本プログラムの運営は、発生医学研究センターの 6 名の他、生命資源研究・支援センター、大学院医学薬学研究部に所属する 4 名の教員を加え、合計 10 名の事業推進担当者により行われました。

 

本原稿は

蛋白質 核酸 酵素 Vol50 No.13(2005) 1688-1689

シリーズ 21 世紀 COE プログラム「細胞系譜制御研究教育ユニットの構築」

の内容をもとにまとめました。